不動産業界に横行する禁じ手「囲い込み」
2024年05月28日
不動産業界には「囲い込み」と呼ばれる、とても良いとは言えない行為が存在します。
「囲い込み」をされてしまうと、売主にはほぼデメリットしかありません。
・売却期間が長期化してしまう
・売却価格が適正よりも低くなってしまう
このような損失を回避するためにも、「囲い込み」について解説いたします。
例え、大手不動産会社に売却を依頼したとしても、結果的に「囲い込み」のような状況になっているケースも多々あります。
単に、不動産会社や担当者に任せきりにせず、ご自身でもきちんとチェックされるとよいと思います。
1.「囲い込み」とは?
「囲い込み」を簡単にご説明すると、売却依頼を受けた不動産会社が、ほかの不動産会社に対して、物件情報や販売状況を正確に伝えない(ブロックしてしまう)ことを言います。
例えば、A社が売主から売却の依頼を受けているとします。
通常であれば、REINS(不動産データベース)などを通して、A社は公正に情報を公開する必要があり、そして、そのような情報をもとに、ほかの不動産会社(ここの例ではB社)も、自社のお客様に物件を紹介することができるようになっています。
B社は、A社に対して「購入希望者がいるので、物件を紹介させてください」「見学をさせてください」という連絡をとったりするわけですが。
しかし、囲い込みをしている場合、A社の担当者は「すでに申込みが入っています」と実際とは違う販売状況を伝えたり「まだ準備ができていないので紹介できません」などと、B社が紹介しようとすることを実質ブロックしてしまうのです。
このように、他社からの購入希望者をブロックして、自社だけで売却物件を抱え込もうとする行為を「囲い込み」と言います。
「購入希望者をブロックしたら、売れないから意味がないじゃないか」
上記の説明だけですと、このように思うかもしれません。
しかし「囲い込み」は、売却依頼を受けている不動産会社にとってメリットを生み出してしまうのです。
2.なぜ「囲い込み」をするのか?
囲い込みが行われる背景には仲介手数料の仕組みが関係しています。
不動産仲介業の基本的な収入源は、「仲介手数料」になるわけですが、受け取り方は下記の2つのケースに分けることができます。
・片手仲介
売主側の仲介会社、買主側の仲介会社、2社がそれぞれ売主、買主から仲介手数料を受け取るパターン。俗に「片手仲介」と呼ばれます。
・両手仲介
売主側の仲介も、買主側の仲介も、同じ不動産会社1社で行い、売主からも買主からも仲介手数料を受け取るパターン。俗に「両手仲介」と呼ばれます。
そうなんです!
この場合「片手仲介」よりも2倍の仲介手数料が受け取れるのです。
このような仕組みが、囲い込みを行おうとする動機となってしまうのです。
両手仲介自体は決して問題のない正当な行為です。
しかし、会社や担当者自身の営業成績を上げるために意図的に両手仲介を狙う場合には問題があります。
営業成績を上げるために、事実と異なる販売状況を伝えたり、意図的に正確な情報を伝えない「囲い込み」を行うことは、本来であれば成約につながるかもしれない機会を失ってしまう行為です。
売却の機会を失うということは、適正価格で売却するチャンスを失うということにつながります。
これは、売却を依頼している側としては大変痛手です。
普通に考えると、仲介会社にとっても売却のチャンスを逃すのは痛手なのかもしれません。
しかし、「囲い込み」を行っている場合は、売却の成約価格が下がっても仲介会社には全く痛手はないのです。
3.被害を被るのは売主だけ
なぜ成約価格が下がっても仲介会社に痛手がないのか、具体例を見ながらご説明します。
例えば、本来は3000万円で売れるはずだった物件が2000万円になってしまったとすると、仲介手数料はどうなるでしょう?
※仲介手数料は「成約価格×3%+6万円」(税別)で計算します。
上記のように、成約価格が下がった場合、片手仲介であれば手数料は「96万円 → 66万円」と30万円減ってしまいます。
でも成約価格が下がっても、両手仲介の場合はどうでしょう?
売主と買主の両方から手数料をもらうことになるので、「66万円 × 2 = 132万円」となります。
このように、より高い成約価格でなくても、両手仲介であれば、成約価格が下がっても、受け取れる仲介手数料が多くなる場合が多いのです。
つまり、成約価格が下がろうとも、囲い込みで両手仲介の形にしてしまえば、仲介会社には全く痛手がない、むしろ利益は増えるということになります。
そもそも、依頼者よりも自身の営業成績を優先させている会社や担当者は、高く売却できようが、安く売却できようが余り関係ないでしょう。とにかく両手仲介ができればよい、という発想になりがちなのです。
非常に残念なことではありますが、このような背景や事情もあり「囲い込み」行為は、なかなかなくなることはありません。
例えどんな立派な会社であろうと、担当者が囲い込みをしようと思えばできてしまうのが怖いところです。
4.囲い込みへの対策方法
ここまでの内容で、売主にとって囲い込みはデメリットであるということはご理解いただけたかと思います。
4-1.囲い込みの被害に遭わないためにできること
残念ではありますが、囲い込みをされていると断定することは難しいです。
そのため、媒介契約を結ぶ前に対策をしておくことがよいと思います。
一番大切なのは、信頼できる担当者を見つけることです。
たとえ会社が信頼できそうでも、囲い込みは担当者の裁量でできてしまいます。
担当者と話す際に「両手仲介にこだわらないですか?」と聞いてみるのもよいかもしれません。
その場合、担当者としては「こだわりません」という回答をするしかありませんが、囲い込みについて調べてきたということを相手にアピールできます。
4-2.囲い込みをされていないか確認する方法
囲い込みに対するチェックのひとつで「REINSで物件の取引状況を確認する」という方法があります。
REINSとは
「レインズ(REINS)」とは国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営している、主に不動産業者がアクセスできるネットワークシステムです。
参照 “レインズとは|REINS TOWER”
http://www.reins.or.jp/about/
不動産会社がREINSに登録すると、「登録証明書」が発行されます。
この「登録証明書」を受け取り、そこに記載されている情報から、一般のかたでもREINSにアクセスでき、ご自身の物件の取引状況を確認することができるようになっています。
ここで確認するべきことは2つです。
①ご自身の物件がちゃんと掲載されているか?
②知らぬ間に「申し込みあり」「紹介停止中」となっていないか?
ご自身の物件が掲載されているかは、定期的にチェックするとよいでしょう。
登録後「登録証明書」だけ発行しておき、その後登録を削除してしまう悪質な会社や担当者も存在します。
そして、ちゃんと登録されていても「取引状況」の項目になんと記載されているかを確認しましょう。
何の報告もないのに「申し込みあり」「紹介停止中」となっている場合は、囲い込みの疑いがあります。
4-3.囲い込みをされてしまった時の対処法
もし、囲い込みが疑われるような状況になった場合は、担当者に確認をとりましょう。
その時の対応次第では、売却の依頼先を変更することも視野に入れておくとよいでしょう。
囲い込みの証拠を押さえることは非常に困難です。
売主が不動産会社のふりをして問い合わせてみるという方法はありますが、あまり現実的ではありません。
それでも囲い込みの疑いが晴れない場合は、契約方法を「一般媒介契約」にするのもひとつの手です。
複数社に売却を依頼することで、囲い込みの可能性はかなり低く抑えることができます。
5.まとめ
不動産業界に横行する「囲い込み」について説明してきました。
本当に残念なことなのですが、囲い込みが発覚しづらいことをいいことに、営業成績や利益を追求しようとする会社や担当者がまだ多く存在します。
当社、住まい工房では、そういった売主の不利益につながるような行為は一切行いません。
人生で何度も不動産売却をする方はなかなかいないと思います。
おそらくみなさん、不安な気持ちも抱えながら不動産会社にご相談いただいていることと思います。
安心して不動産売却を進められるように、当社では公正な立場でしっかりと売却をサポートさせていただきます。
今抱えている不安、
いつでもご相談下さい。
住まい工房がお客様に寄り添って
ご対応いたします。
- 不動産売却についてのご相談
- 精度の高い無料見積もり
- 最適な売却方法のご提案